若い雑木林はとても密生しており、なかなかどうして、入れない。
いかんせんマルックと僕では、獣道みたいなものを作るので精一杯だった。
それに・・・ゴリゴリゴリ、ゴリゴリゴリ・・・すぐに豆を挽く音が聞こえるのだった。
そんなある日。
並木道の居酒屋でキコリザワに会った。
“森の畑”の話にうなづいていたキコリザワは、手に持ったジンバックを飲み干した。
「今まで黙ってたけど、実はオレ、木樵りなんだ」
(ミュージシャンじゃなかったのか・・・)
ところが、山でのキコリザワの活躍にド肝を抜かれることになる。
まさに“水を得た魚”いや“木を得た木こり”。
キコリザワは形から入るタイプらしく、プロ仕様の最高級チェンソーを振り回していた。
バタバタと倒れる木を運ぶのが、僕たちの役目。
せっせと集めて、スペースは少しずつ広がっていった。
ひとしきり終える頃には、あったかいコーヒーが待っていた。
天に向かってみんなで白い息を吐いた。
ただ、楽しかった。
・・・