5月。
「もう大丈夫。柵を作ったから。柵を作ったんだから!
・・・え〜、秋ごろからぼちぼちやりまして、このほど完成の運びとなりました。
皆さまのご協力に心よりお礼申し上げます」 パチパチパチ
林の入り口で、僕はマルックとキコリザワに植樹祭の挨拶をした。
「つきましては、念願であったfriutree、果樹を植えたいと思います。
ヤマモモ、栗、お茶、はっさく、それと・・・とにかく、行こう!神々の待つところへ!」
植えてから数日して行くと、無残にもほとんどの果樹がなぎ倒されていた。
「誰だ!こんなひどいことするのは!」
ステンレスを編み込んであるはずの防獣ネットは、あまりにも簡単に食い破られていた。
イノシシはミミズを求めて土の臭いのする場所を掘り返すという。
オロオロする僕のそばで、マルックはひとり大笑いしていた。
「悪気はないみたいだよ」
「そっか、だったら良いんだけど・・・おめぇ、完全に他人事だろ」
つまるところ、柵を作り直すより他なかった。
不思議にもヤブキタ茶(普通のお茶)の木だけが丸ごと無くなっていた。
杜仲茶の木は無事だった。(わかる気はする・・・)
一方、畑の方は、とても穏やかに世界が流れていた。
ダイコンや小松菜が種を結んでいた。
・・・