6月。
「虫、キライ」
そう言っていたトリシアも、ときどき畑に来るようになった。
もっとも彼女の目的は、近くのジェラート屋とそこにいるウサギだったけど・・・
ピンク色のジェラートを手にしたトリシアは、僕の畑をすこし見て言った。
「草ボウボウだから刈らないと」 「肥料もちゃんと上げなさい」
「ダメだよ。それが本当かどうか、試してるんだから」
融けかかったジェラートを舐めながら、トリシアは大声で叫んだ。
「ほったらかし畑ー!万田酵素ぶちまくよー」
白や赤のクローバーの花たちも微笑んでいるように見えた。
昨年、牧草の間に消えたジャガイモは、クローバーの中ですくすくと育っている。
ほとんど実を着けなかったブルーベリーは、緑肥のソファーで青い実を抱いている。
今年の夏はカーニバルだ。
太陽がいっぱいだ。
・・・