5月。
岩清水のせせらぎを聞きながら、我々はゆっくりと木漏れ日の中を進んでいった。
鳥たちのさえずりに、隊列は否が応にもゆるむ。
森の入り口に差し掛かったところで、フマールは後の隊を振り返った。
「行こう!神々の待つところへ。匙は投げられた!」
いつもの決めゼリフも、このごろは空しく響くようになった。
開拓は終わり、もっぱら観察ばかりの日々がつづく。
黒々と肥えているように見える森の土だが、クローバーの成長はすこぶる悪い。
なぜかとても乾燥しているようだ。
畑とはまったく様子が異なる。
初夏の“ほったらかし畑”は、「もう止めてくれ!」というほど瑞々しく伸びる。
そして、この国の卯月はかくも美しい。
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