6月。
フマールの心は、湖底に沈む寺のようだった。
山も畑も当たり前のように柵が破られ、獣たちのレストランになっている。
(ひょっとすると去年よりも悪いかもしれない・・・)
日ごとに生い茂る畑では、赤と白のクローバーが満開だ。
一粒だけのイチゴ、虫に食べられたブロッコリーなど・・・まともに育つ野菜はない。
それでも足を運ぶのは、なにかしら小さな気付きがあるからだ。
植物たちはピークを少しずつずらして咲く。
アワダチソウやヨモギだけが他を征圧してしまうことはない。
麦を収穫した。弥生時代をまねて穂先だけを摘んだ。
手を掛ける気になれず、ぜんぶ来年の種籾に回すことにした。
山ではクローバーが生え始めた。
この道・・・先は見えない。
・・・