7月。
ひとり畑へ。
土手の草を刈った。小さなソバの花が咲いていた。
(去年と変わらないな)
となりのおばさんの畑を見るにつけ、僕は不安になる。
(普通のやり方でやればいいんじゃないか?)
コオロギとヘビが草の中にスルスルと消えていった。
土は1センチだけど黒々とよい感じになっている。
(僕はこのまま種を蒔きつづけることができるだろうか?)
昨年と変わらない迷路をさまよう。
迷路も1度目よりも2度目がきつい。
(僕の方こそシンプルな予定調和を期待しているのかも知れない)
今回は山芋とミョウガとトマトしかできそうにない。
夜、川べりでビールを飲みながらマルックと話をした。
僕はこのとき初めて、チェ・ゲバラが広島に来たことを知った。
チェは「死んだように生きろ」と言ったという。
僕はこんな小さなことをなんでウジウジ考えているのかと思った。
世界には問題が山積みで、そんな下を向いて休んでいる暇などない。
この道を歩きだした。
行く手にどんな困難があろうとも、たじろいでいる暇はない。
マルックは僕がただの変人で終わってしまうことを心配している。
そうかも知れない。
しかし、一見無意味に思えるこの回り道を、必要なものだったと、後から笑って話せるように。
「これからは広島を、広島の人を、愛していこう」
1959.07.25 エルネスト・ラファエル・ゲバラ・デ・ラ・セルナ
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