「マジかよ…」
僕たちはほとんど同時に声を上げた。
まったくこの時のテンションの上がり様ったらない。
それは確かに目の前にあった。
「…こっそり堂、だ」
フマールが呻(うめ)く。
その後の出来事は正直思い出せない。いや、思い出したくない。
ただただ夢中だった。僕もフマールも…
気が付けばフマールがカメラのファインダーを覗き込んで、必死になって僕にポ−ズを強要していた。
僕も満面の笑みで次々にポーズを決めてゆく。
僕の体は熱を帯び、興奮を抑えるのがやっとだった。
ただ渾身の数枚を撮れた充足感だけが、わずかばかり僕を鎮めた。
邂逅(かいこう)と呼ぶべきその体験は、僕たちを一変させた。
・・・