秋なのにハルが来た。
朝なかなか起きることができず、昼前まで布団の中でもじもじしていた。
あうんの呼吸で、マルックも約束の時間をゆったりと超えて、家に迎えに来てくれた。
ハルを乗せて。
「カンナにもらったんだ」とマルックは答えた。
カンナは、お酒様の友達で、足の長い色白の女の人。
いたずら好きのお酒様は、西郷どんに西洋のミニチュアダックスをあずけた。
とうとう畝は完成した。
畝も通路も2メートル。(なんと贅沢な使い方だろう)
ほったらかし畑を囲うように4本作った。
それぞれ違う肥料を入れて実験してみるつもり。
畑の隅には2頭のアザラシが打ち上げられていた。
ブルーシートの上で1年間寝かせた刈草は、黒土になり、それをロール。
もちろんこれも実験用。
今年は柿の生り年だった。
給料前のマルックは、妹たちに持っていくために、柿の実を必死になって摘んでいる。
予防接種がまだのハルは、車の中でキャンキャン鳴いている。
役者はそろった。
俺たちのヒロイン、犬か・・・
・・・