8月。
お盆前はブルーベリーの最盛期。
恒例のブルーベリー狩りのお手伝いに出かけた。
真夏日でありながら田舎の風が涼しく、ぽろぽろと実を摘む作業も気持ちいい。
結構やったなと思いながら葉っぱの下に手を差し入れた瞬間、今日のその時が来た。
ギューーーン!
指先にぶっとい注射針を刺し込まれたような激痛が走った。
あっっ!いたっっ
小さな何かが地面に落ちて姿を消した。
周囲の人々の目があるので僕は平静を装い、サムライ魂を見せたところで静かに下山した。
もはや収穫などする気になれないのだった。
たぶんアシナガバチ。
ほったらかし畑ではキュウリの苗がぽこぽこと実をつけ始めていた。
キュウリは大きくなる前に収穫すると、次から次へと実を結ぶ。
遅れるとボブ・サップのような巨大なキュウリになって、身が固くて美味しくない。
嬉しい悩みだが、この季節は「月イチ2時間」は無理かも知れない。
毎週取って帰るようだ。
次は山のお手入れ。
まず桃の木に光をいっぱい当てようと周りの雑木を切り始めた。
するとすぐに蜂の羽音が聞こえ、1匹が威嚇のように僕の周りを飛んだ。
どうやら巣が近いのかもしれない。
しかし気にせず木を切り始めた瞬間、今日のその時が来た。
一閃、小さい黒いものが腕に飛んできた。
くの字の体勢のまま、まったく無駄のない最短距離で。
そして線香花火の先っちょが皮膚に落ちたような細い激痛が走った。
あつっっ!
僕はすぐにその場を立ち去り、長袖を巻くって毒を吸い出そうとした。
吸いながら、あれっ?思ったほど痛くないからスズメバチじゃないな、大丈夫かも。
たぶんミツバチ。
・・・