9月。
お彼岸。
なかなかトリシアと会えない日々が続いていた。
落ち着かない僕はいずれにしても畑に行こうと思い立った。
すっかり秋になった田舎の景色は清々しく、心を落ち着かせた。
草を刈っていると、小さな白い虫がふわふわと飛んでいるのが見えた。
手袋で受けると、それはたんぽぽのような種だった。
たばこのドーナツ煙のように、畑の南側で風が吹く度に、ほわっと舞い上がっている。
そして柵などまったく気にも止めず、越えてふわふわとやってくるのだ。
届けばや 宵待つ妹(いも)へ 風綿毛(かぜわたげ)
ニンジン、ゴボウ、べんり菜の種をそれぞれの畝に蒔いて帰った。
・・・