1月。
今から一年くらい前、僕はおもむろにJAへ足を運んだ。
店内には一人の中年女性がいて、小さな農機具や肥料などが売られていた。
「クローバーの種はありますか?」
結局、僕は白クローバー、赤クローバー、アルファルファの種を1kgずつ注文した。
1週間ほどして届くとのことだった。
それから少年時代の友人を訪ねた。
「これから畑を作ろうと思う。君も一緒にやらないか?」
なぜ誘ったのか・・・“不思議な偶然”が後押ししていた。
「楠(くすのき)の種を探しに行こう」
僕は友人に告げ、一緒に楠木町へと向かった。
そこには樹齢500年の大楠があった。
空へとのびる姿に僕たちは息をのんだ。
落ちている小さな実を袋に詰めた。
・・・