2009年06月30日

フマール農園 21. この道

6月。
森を彷徨(さまよ)い、たどり着いた・・・

C20080611この道.JPG

・・・
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2009年07月15日

フマール農園 22. 小ぶりだ

7月。
ちょっと収穫してみることにした。
ジャガイモはそろそろ食べ頃とのことなので・・・テルポーモ。

S20080710ジャガイモ1.jpg    S20080710ジャガイモ2.jpg

「今年は全体的に小ぶりだ」
と近所のお百姓さんが言っていたので、

「今年は小ぶりだ」
と僕も言ってみた。

普通においしいジャガイモがたくさんできた。

しかし、ほとんどのジャガイモを掘らずに放って置くことにした。
食べることに興味がない訳ではなかった。
それ以上に、どうなるのか?が気になって仕方なかった。

S20080714アマガエル.jpg

“牛蒡の上”(ごぼうのうえ)も呆れ給えり・・・テルポーモ。

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2009年07月31日

フマール農園 23. 金の糸

7月。
「マルック、来てみろよ」
「なんだ?これ」
S20080717金糸1.jpg    S20080717金糸2.jpg
突然あらわれた金色(こんじき)の蔓(つる)が、そこら中に絡みついていた。
どんな影響があるのか?など皆目わからないものの、僕たちは吉兆だと感じた。
金色(きんいろ)だから。 アホだから。

S20080717混生2.jpg    S20080717混生1.jpg
すぐ横では、ちょっとダイナミックな混生がはじまっていた。
2メートル近く伸びたゴボウやヨモギの下に、青々としたサツマイモと生姜。
「こんな日陰でも育つんだぁ」
たちまち雑草に呑まれたそれらを、僕は枯れてしまったのだと思っていた。

「ダイナミック柔道!!」
隣でマルックが訳のわからないことを叫んだけど、まんざら外れていないかも・・・

S20080717熊蜂.jpg
あと・・・熊蜂が意外にかわいいことを知った。

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2009年08月15日

フマール農園 24. マルックがアスパラを踏んだ

8月。
マルックがアスパラを踏んだ。
マルックがアスパラを踏んだ。

さっき一緒に見つけて「成長が楽しみだね」と笑い合った・・・
そのアスパラをマルックが踏んだ。
S20080828アスパラガス3.jpg

どうして踏んだのだろう?
むしろどうやったら踏めるのだろう?
・・・怒りが込み上げてきた。

もちろん悪気があったんじゃない。
それはわかっている。
だからこそ、行き場のない“やるせなす”が、この“やるせなす”が・・・

しかし、 あー。 うん。 あー! 仕方がない。
いつものように食べるよう勧めてみた。
さすがに断りにくいらしく、マルックは折れたアスパラを手に取った。
「あっ、美味い!」
「えっ!ほんと?オレにも食べさせて・・・甘〜い!」

S20080714アマガエル.jpg

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2009年08月31日

フマール農園 25. メリーゴーラン♪♪

8月。
お盆を過ぎた頃から、急に涼しさを感じるようになった。
ひと夏の恋・・・
夜の網戸にも虫が飛んで来なくなり、山は燃え尽きたように茶が差しはじめている。

S20080814粘土団子と舟.jpg
この日はシードボール(種入り土団子)を作った。
だんだん適当になって、少々崩れていても気にしなくなった。

曇天がつづいていたものの、僕の心は晴れやかだった。
通りがかりの人が見れば、ただの放棄地にしか見えないだろう。
でも僕は1年前の惨状を覚えている。
足も踏み入れられない藪(やぶ)を。

S20080828アスパラガス2.jpg  S20080828ウコン.jpg  S20080828ゴボウ.jpg  S20080828トマト1.jpg  S20080828生姜.jpg

本当に何もしていない。
秋と春に種をばら蒔いただけで、草すら1回も刈っていない。
にもかかわらず、ジャガイモとアスパラができ、トマト、ウコン、ゴボウ、さつま芋などがチョロチョロと生えている。

S20080828キャベツ.jpg  S20080828キュウリ.jpg
キャベツは1年をかけて結球し、「ハウルの動く城」になってしまった。
遅すぎるキュウリが今さらながら生えてきた。

S20080828芽吹き1.jpg
次の世代がスタンバイしているというのに。

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2009年09月16日

フマール農園 26. 『ジュラシック・パーク』

9月。
「もうぼちぼち話さねばなるまいよ」
「あぁそうだ。もう限界だ」

頭の中で、小人たちが会議をしている。

S20080414芽.jpg
「4月のとき、こんな小さな芽が出たのを言ったきり、うんともすんともじゃないか」
「まさしくそのことだよ。ボクが言おうとしているのは」
「よし、じゃあ、ここの小枝に座って聞こうじゃないか」

4月だよ。フローレンスも一緒だったよ。
S20080430山1.jpg

5月だよ。のどが渇くから、竹に湧き水を入れたよ。
S20080508山1.jpg

6月だよ。アシナガバチが飛んで来たけど、平気だったよ。
S20080608山2.jpg

7月だよ。急に頭が痛くなってきたよ。
S20080728山1.jpg

8月だよ。ジャコウネズミさんと穴の中で横になっていたよ。
S20080814山2.jpg

9月だよ。みんなで輪になって歌ったよ。
S20080916山2.jpg

「どうかい?どう思うかい?」
「これと同じの景色、ホップの門の映画館で見たよ」
「もちろん僕だって考えたさ。
 太陽の具合が悪いのか?ツゲの根っこがいたずらしたか?
 虫たちが全部食べたのか?
 でも、夜ごはんになったから、もう止めたよ」
「あぁボクも眠たくなってきたよ」
「じゃあ、おやすみね、コミクル」
「おやすみね、また明日ね」

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2009年09月30日

フマール農園 27. ナスカ

9月。
はじめはジャガイモかと思って、根元を掘った。
なんにも出てこないので、恐る恐る元に戻し、知らん顔をしていた。
S20080710トマト.jpg

すると・・・2ヵ月後、こんな感じに仕上げてきましたよ、ナスカは。
S20080903トマト.jpg S20080828トマト2.jpg
今までにできた野菜は、じつは根菜類ばかり・・・トマトはナス科。
この違いはねぇ、大きくないでしょうか。

さて、お味の方は・・・
S20080911トマト2.jpg
「うまいじゃん!」とマルック。
「まぁ食べれるな」と僕。
そう答えたものの・・・あんなぁ、、あとでなぁ、、ビチビチやねん。
市販のトマトの方がおいしいよ。
涙がこぼれそうになった。

S20080925神々の森1.jpg
ふり返ると、神々しい山の端(やまのは)が静かに僕たちを見ていた。

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2009年10月15日

フマール農園 28. 澤風(さわかぜ)が吹く

10月。
植樹祭でヤマノモノの襲撃を受けて以来、すこしずつ柵を作り直していた。
せっかくなので拡張しつつ・・・
その間も幾度となく結界は破られたが、楽しいことに失うものがなかった。

杭(くい)を挿すための穴を掘っていて、新しい発見があった。
粘土が出てきたのだ。
S20081003粘土発見.jpg
いろんな所から出てきて、案外どこにでもあることがわかった。
これでわざわざ陶芸用のパウダー粘土を買わなくて済む。

さて、フロンティアにはキコリザワ。

あらかた開拓して最後の道を通そうとしたとき、「帰りましょう・・・」と気弱な声がした。
見上げた喬木(きょうぼく)の枝には、「茶色のクス玉」がぶら下がっていた。
その唐草紋様は、たしかに少しばかり不吉な印象がした。

「アレワー!大丈夫ヨ。何モシナケレバ刺サナイヨ」
「いやいや、無理でしょ。帰ります。そもそも、あなたが信用できない」
いつもは“益荒男(ますらお)ぶり”のキコリザワも、スズメバチには白旗だ。

S20080916スズメバチの巣.jpg
不思議なことに、ふたたび来ると、スズメバチの巣は落ちていた。

今日も谷には澤風(さわかぜ)が吹く。

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2009年10月31日

フマール農園 29. ひかり

10月。
トリシアが畑の隅っこにしゃがんで、四つ葉のクローバーを探している。

S20081023ヨモギ.jpg S20081030混生1.jpg 
S20081003サツマイモ.jpg S20081003ソバ.jpg
S20081003ニンニク.jpg S20081030大豆.jpg
「良すぎる・・・」
ショータイムの予感。
雑草の弱まる冬には、野菜はよく育つはずだ。
悲劇的だった昨年でさえ、大きなダイコンが2本も生えたのだから。
しかも、あの時よりも、何かしらいっぱい顔を出している。

生姜を掘ってみる。
S20081003生姜?.jpg S20081003生姜?2.jpg
「キコリザワ、マルック、今すぐ ボナペティ!今、すぐに」
「あぁ、じゃあ、もらって帰るよ」
感想はまた後日。

といっても、のんびりしてばかりも居られなかった。
山での柵作りが佳境を迎えていた。
ギリギリまで作業をして夕闇を戻ると、畑小屋の前で何かが光ったように見えた。
目を凝らす・・・ホタルだ!
「こんな寒いのに!?」
それは間違いなく蛍だった。ゆっくりとゆっくりと点滅していた。
僕たちはしばらく蛍の光を眺め、それから黙って車に乗り込んだ。

そうそう、トリシアは四つ葉のクローバーをちゃんと見つけましたよ。
ちょっと虫に喰われているところが、ご愛嬌。

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2009年11月14日

フマール農園 30. 猪寇(いこう)

11月。
ホタルを見た夜。
クロワッサンの照らす暗い峠を、帰りの車は下っていた。

「ウリ坊だっ!!」
マルックの声がした瞬間、数発の弾丸が放たれ、山の斜面を流れるように上っていった。
それらトビ色の樽のようなものは、一瞬だけ僕たちの車と並走し、すぐに林に消えた。
作ったばかりの柵への不安が過(よ)ぎりつつも、理由もなくワクワクした。

先頭の大きな樽につづく3つの小さな樽は、白く輝いているように見えた。
その形や色を表現するのに、昔の人は「銀まくわ瓜」を当てがった。

半月後、元々きちんと囲われている“ほったらかし畑”で、弾丸は炸裂していた。
S20081113イノシシ襲来3.jpg S20081113イノシシ襲来4.jpg
ねじ曲がったトタンを手で戻そうにも、ピクリとも動かない。
そんな強度のものではないのだ。
イノシシは好物だけを完食して、山へ帰っていた。

近ごろこの辺りでは、ヤマノモノがよく里に出るようになった。
そして、“呼び寄せる”という理由から、サツマイモ作りは敬遠されている。

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2009年12月01日

フマール農園 31. お酒さま

11月。
目を覚ますと、携帯にメールが入っていた。
「朝5:50。飲んでいて、いま帰宅。昼から合流します」
マルックはよく遅れてくる。

昨日は“みぞれ”が降り、冬将軍の足音がはっきりと聞こえるようになった。
畑草たちは緑のまま大地にひれ伏して、軍の到来を待っている。
花が生み落とした2年目のワイルド小松菜そしてワイルド水菜。
C20081120畑.JPG C20081120チンゲンサイ.JPG C20081120水菜.JPG

キコリザワの勧めで“ニンニクの葉”をつまんでみる。
ニラのような食感だが、味と香りはニンニクそのもの。
食欲がもりもり湧いてきて、「味噌ラーメンを食べに行こう」ということになった。
S20081003ニンニク.jpg

帰りの車ではいつもいろいろな話をする。
酒好きのマルックは、バーで語るような素敵なネタをたくさん持っている。
「モルトウィスキーの歴史」や「“お酒さま”の力を借りないと告白できない話」など。

「そう言えば、あの生姜どうだった?」
「腐ってたぞ」
「そんなはずないだろう」
S20081003生姜?.jpg S20081003生姜?2.jpg
帰って調べてみると、“ウコン”でした。

「飲んだら、飲んどこ。ウコンの力」・・・お後がよろしいようで。

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2009年12月16日

フマール農園 32. 麦踏み給ふこと勿れ

12月。
S20081211麦踏み.jpg

今秋はJAの麦の卸値がなかなか決まらず、種の受け取りが11月になった。
急いで仲間に召集をかけると、キコリザワのつれない一言が。

「シードボールにする必要、ある?」

するどい!!・・・いや、めんどくさいだけだろう。

以前、秋の種まきをした後に、草を刈るかどうかを話し合ったことがあり、
その時点での夏草の勢いは、最盛期は過ぎていたものの依然として圧倒的で、
「刈ろう」と提案したのはキコリザワで、
だけど僕はうなずかなかった。
S20081110ヨモギ.jpg
はたして、秋が深まるにつれて、夏草はゆっくりと倒れていった。

今回はキコリザワの言う通りのような気がして、
“シードボール”“すじ蒔き”“そのまま”の3パターンを試してみた。

しかして、1ヵ月後の結果は・・・・・・大差なし。  オー、イェ!

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2009年12月31日

フマール農園 33. ミニチュア

12月。
クリスマスの7日前、北の国からフルーツの苗木が届いた。
「ちょっと遅すぎだろ!」
みんなで訝(いぶか)りながら、手分けして穴を掘って植えた。
S20081217苔オブジェ.jpg

今年ももう終わる。
思い立ってから2年の歳月が流れた。
S20081224混生.jpg S20081224イチゴ.jpg
実物は、写真の感じよりもずっと小さいけれど、夢見たものに雰囲気が似てきた。
イチゴは意外に逞(たくま)しい。
冬は、オール・プランツ、ぴったんこ。

冗談か本気かわからない、このキホーテな物語に
1年間お付き合いくださった皆さま、心より御礼申し上げます。
どうぞ良い年をお迎えくださいませ。

M・K・フマール

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2010年01月17日

フマール農園 34. 2QQ8

去年をふり返ってみる。

4月
S20080414畑★.jpg

5月
S20080508畑★.jpg

6月
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7月
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8月
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9月
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10月
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11月
S20081110畑★.jpg

12月
S20081224畑★.jpg


遠景だとよくわからないな・・・

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2010年01月31日

フマール農園 35. パウダー粘土

C20090121畑.JPG C20090126山.JPG

1月。
ほったらかし畑に巨大な赤カブが1本生えている。
C20090121大根.JPG

今年の春もシードボールを蒔こう。

畑小屋で火を焚いて、みんなでパウダー粘土を作った。
比較的あたたかい日で、思ったよりもずいぶん楽な作業だった。

掘ってきた粘土(っぽい土)を広げて乾燥させておく。
それをバケツに入れて、棒で突いて、ふるいにかける。
それをバケツに入れて、棒で突いて、ふるいにかける。
それをバケツに入れて、棒で突いて、ふるいにかける。

以上、おしまい。小1時間でティータイム。

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2010年02月15日

フマール農園 36. 実存の香り

C20090209畑.JPG C20090209山.JPG
C20090209大根.JPG C20090209混生.JPG

2月。
家に帰ると、種が届いていた。
僕はそれを全部開けて、大きさ別に3つの袋に分けた。
種を選別しながら、ずっと考え事をしていた。
辺見庸のドキュメンタリー番組を見ながら。

僕は辺見氏ほど“実存に対して真摯に向き合う”作家を知らない。
あの人はずっとそうやって生きてきたから、話せる作家になれたのだと思う。
ここでの“話せる”とは、「おしゃべりが上手な」という意味ではなく、「内観しながら少しずつ紡ぐ。文章を推敲するような深さで、言葉を発することができる」という意味だ。

僕はこれまで偽りの言葉を書いている。
それも、もう、止めようかと思う。

マルックと一緒にシードボールを作り、干している間に遠くの温泉まで足をのばした。
戻ってきたのは日が暮れてからで、半月の下、2人はシードボールをばら蒔いた。

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2010年03月31日

フマール農園 37. 春の夢

C20090209畑.JPG C20090318山2.JPG
3月。
今朝はとても素敵な恋の夢をみた。
春だなぁ
鏡を見ると、唇に黒いものがついているので、夢のリップがついたのかと思った。
が、洗顔中に鼻血だとわかった。
シーツをチェックすると小さな染みがついていた。

C20090318菜の花.JPG C20090318イチゴ.JPG C20090318麦1.JPG

昼は第2弾のシードボールを作ってから、干している間に近くのカフェで食事をした。
スプーンを持ったままぼんやり農場を眺めていると、ロバが突然の love affair 。
春は宇宙が融けあっている。

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2010年04月25日

フマール農園 38. ふとん

C20090416畑.JPG C20090423山1.JPG C20090403桜1.JPG
4月。
ひとり、山へ。
桜が満開だ。
芋やいろいろな野菜の苗を植えた。
穴を深く掘ってみると、40センチ下はマサ土のごとき岩盤だった・・・大丈夫か?
去年のジャガイモがゴロゴロと出てくる場所もあった。
ニンジンは勝手に種を落とし、勝手に生えるサイクルに入っている。
塵(ちり)みたいに小さい種でも問題ないみたいだ。
C20090403ニンジン1.JPG C20090403ネギ.JPG C20090409麦4.JPG
C20090403ジャガイモ1.JPG C20090409カボチャ.JPG C20090403畑の土3.JPG
クローバーの層の下は、春の日差しを受けて、ふとんのようにポカポカだ。
そりゃ棲みやすいでしょ、虫たちも。
植物が気候をマイルドにするんだね。
C20090403アマガエル3.JPG C20090403カマキリの卵.JPG C20090403混生2.JPG

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2010年04月30日

フマール農園 39. ゆれる。

4月。
1週間ぶりにトリシアと連絡がついた。
トリシアは「おじいちゃんが死んだ」と言った。
それから、なぜか僕に感謝の言葉を述べた。
僕は彼女に入院中の祖父に会いに行くよう勧め、何度か連れて行ったことがあった。
それでも、あとでトリシアは面白い話をいっぱい聞かせてくれた。
ゴチャゴチャとうるさい金儲け主義の葬儀屋に向かって、一見大人しそうなトリシアが暴言を吐いた話などは、特に面白かった。

ここのところ、僕はずっと塞(ふさ)ぎこんでいた。
静かに、しかし確実に・・・
時が経つほどに現状は答えとなってゆく。
期待した冬野菜はまったく大きくなることなく、小さな花を咲かせている。
僕の方こそ感謝しないといけない。

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2010年05月25日

フマール農園 40. Over the Rubicon

C20090513山.JPG
5月。
岩清水のせせらぎを聞きながら、我々はゆっくりと木漏れ日の中を進んでいった。
鳥たちのさえずりに、隊列は否が応にもゆるむ。
森の入り口に差し掛かったところで、フマールは後の隊を振り返った。

「行こう!神々の待つところへ。匙は投げられた!」

いつもの決めゼリフも、このごろは空しく響くようになった。
開拓は終わり、もっぱら観察ばかりの日々がつづく。
黒々と肥えているように見える森の土だが、クローバーの成長はすこぶる悪い。
なぜかとても乾燥しているようだ。
畑とはまったく様子が異なる。

C20090504畑1.JPG
初夏の“ほったらかし畑”は、「もう止めてくれ!」というほど瑞々しく伸びる。

C20090504クモ1.JPG
そして、この国の卯月はかくも美しい。

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