10月。
台風が関西を抜けていった。
お座なりにしていることをやろうと思い立ち、朝からシーツを洗ったり、書棚を整理したりした。
それから車で銀行に向かう途中、近所のガードレールに車体の横っ面をひどく擦った。
別に危険な運転ではなく、まったく当たるとも、危ないとも思わなかった。
(最近どうかしてるのかな?集中力がない・・・)
嫌な嫌な気分はぬぐっても取れなかった。
牧場でヒデじいさんが草を刈っていたので、すこし立ち話をした。
「体がえらい。体がえらい」とぼやきながらヒデじいさんは近づいてきた。
先日フマールの知り合いを名乗る者が「牛の肥が欲しい」と交渉に来たこと。
その若者はプロとしてキノコ栽培をするつもりらしいこと。
他にも、牧草地にヤマノモノが入った話などをした。
別れ際、ヒデじいさんは大きく一つ言い放った。
「若い者は夢を追え!それから早う結婚せい!心が折り合うけぇ」
もう80歳近いヒデじいさんから発せられた「夢を追え」という言葉は、清々しく響いた。
トラック運転手から酪農家になったヒデじいさんは、生き生きとして、お肌もつやつや。
すくんだ肩の小さな背中には、力がギュッと詰まっている。
朝晩の寒さにもプチトマトは相変わらず生り、無理と思われた普通トマトは赤く色づいた。
そうこうしているうち、畑にノリおじさんがやって来た。
すれ違いざま、フマールの抱えた野菜を横目にニヤリと笑った。
・・・
posted by from_grassroots at 23:57|
日記
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