2010年09月30日

フマール農園 46. はじめての収穫

C20090915畑草刈後.JPG C20090915山草刈後.JPG
9月。
ドンっ
フマールはいっぱしの百姓のように、野菜をぞんざいにトランクに積んだ。

C20090915収穫1.JPG C20090918収穫1.JPG
夏の終わりの思わぬプレゼント。
カボチャやプチトマトは次々と実を太らせ、行くたびに食べるだけ持って帰ることができた。
3年もつづく雑草園に疲れた心に、収穫はライスシャワーのように心地よかった。

C20090924DNA.JPG
フマールはライスシャワーを浴びたことはない。

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2010年08月31日

フマール農園 45. 淡々とプチトマト

C20090820畑.JPG C20090820山.JPG
8月。
近所では夏野菜の収穫がはじまった。
カボチャ、サツマイモ、スイカの葉が、花見の場所取りゴザのように一面をおおっている。
C20090811おばさんのサツマイモ.JPG C20090802夏の夕1.JPG

フマール農園でも、遅ればせながらトマト、カボチャ、ズッキーニが大きくなってきた。
当初くすぶっていた苗も、一線を越えるとすごいスピードで成長をはじめた。
(苗から植えると違うなぁ・・・邪道な気もするけど)
ちなみに、去年のキュウリは、さらに1ヶ月スロースタートして、秋に抱かれるように夭折した。
夏野菜は小さい時が肝心みたいだ。
C20090828カボチャ3.JPG C20090828ズッキーニ2.JPG

一応の報告として、
C20090805ネギ1.JPG C20090802トウモロコシ.JPG C20090820サツマイモとキュウリ.JPG
C20090828山芋2.JPG C20090828みょうが.JPG C20090828ソバの花.JPG
・ネギ(種)は、雑草の影でみずみずしく育った。
・トウモロコシ(苗)は、去年と同じように枯れた。
・唐辛子(苗)は、どこにあるかわからない。
・サツマイモ(蔓)は、雑草。
・キュウリ(苗)は、遅いがクローバーの中で成長している。
・サトイモ(種芋)は、枯れることはないが大きくならない。
・みょうが(種)は、雑草。
・ソバは、実生(みしょう)のサイクルに入っている。

C20090828プチトマト2.JPG
なにより8月の最後にプチトマトができたのがうれしい。
大好きなんだよな、これ。
去年よりだいぶんいいみたい。

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2010年07月31日

フマール農園 44. 夏休み。。。

C20090727畑.JPG C20090727山.JPG
7月。
いつものようにほったらかし畑の中を見て回った。
突然、草かげから茶色いものが飛び出した。
一気に小高い土手まで逃げていったその姿は、今まで見たことのないものだった。
ウサギ!?・・・は、律儀に柵の手前で一度こちらを振りかえり、森へ跳ねていった。
僕はこの時はじめて野生のウサギを見た。
柵は穴だらけでも、心はうずうずしていた。もうコツコツやるしかない。

半月ぶりに訪れた畑は、よく見ると、カボチャやズッキーニの苗が少し大きくなっていた。
C20090727カボチャ.JPG C20090727サツマイモ1.JPG C20090727ズッキーニ.JPG

帰りの車から流れる、ペンギンの『夏休み。。。』

海水浴で、好きな娘と1つの浮き輪につかまって、沖に出る。
夏のまぶしい陽ざし。視界には海面と彼女の姿しか見えない。
すぐ目の前で、息づかいまで聞こえるほど近くで、笑う彼女。
水しぶきと海の鼓動。

一瞬の永遠。
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2010年07月25日

フマール農園 43. 広島を

C20090713畑.JPG
7月。
ひとり畑へ。
土手の草を刈った。小さなソバの花が咲いていた。
C20090706ソバの花.JPG C20090706おばさんの畑1.JPG
(去年と変わらないな)
となりのおばさんの畑を見るにつけ、僕は不安になる。
(普通のやり方でやればいいんじゃないか?)
コオロギとヘビが草の中にスルスルと消えていった。
土は1センチだけど黒々とよい感じになっている。
C20090706夏の雲.JPG C20090706天然のマルチ.JPG
(僕はこのまま種を蒔きつづけることができるだろうか?)
昨年と変わらない迷路をさまよう。
迷路も1度目よりも2度目がきつい。
(僕の方こそシンプルな予定調和を期待しているのかも知れない)
今回は山芋とミョウガとトマトしかできそうにない。

夜、川べりでビールを飲みながらマルックと話をした。
僕はこのとき初めて、チェ・ゲバラが広島に来たことを知った。
チェは「死んだように生きろ」と言ったという。
チェ・ゲバラ.jpg
僕はこんな小さなことをなんでウジウジ考えているのかと思った。
世界には問題が山積みで、そんな下を向いて休んでいる暇などない。
この道を歩きだした。
行く手にどんな困難があろうとも、たじろいでいる暇はない。
マルックは僕がただの変人で終わってしまうことを心配している。
そうかも知れない。
しかし、一見無意味に思えるこの回り道を、必要なものだったと、後から笑って話せるように。

「これからは広島を、広島の人を、愛していこう」
1959.07.25 エルネスト・ラファエル・ゲバラ・デ・ラ・セルナ

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2010年06月30日

フマール農園 42. この道

C20090618畑.JPG C20090609雑草2.JPG
6月。
フマールの心は、湖底に沈む寺のようだった。
山も畑も当たり前のように柵が破られ、獣たちのレストランになっている。
(ひょっとすると去年よりも悪いかもしれない・・・)
日ごとに生い茂る畑では、赤と白のクローバーが満開だ。
一粒だけのイチゴ、虫に食べられたブロッコリーなど・・・まともに育つ野菜はない。
C20090609イチゴ1.JPG C20090625ブロッコリ.JPG
それでも足を運ぶのは、なにかしら小さな気付きがあるからだ。
植物たちはピークを少しずつずらして咲く。
アワダチソウやヨモギだけが他を征圧してしまうことはない。

麦を収穫した。弥生時代をまねて穂先だけを摘んだ。
手を掛ける気になれず、ぜんぶ来年の種籾に回すことにした。

C20090618山.JPG C20090618玉ウサギの下2.JPG
山ではクローバーが生え始めた。

C20080611この道.JPG
この道・・・先は見えない。

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2010年05月31日

フマール農園 41. ギルガメシュ叙事詩

5月。
人気アイドルが公然猥褻で逮捕された、という事件が世間を賑わしていた。
マルックは「今の日本の社会には寛容さがない」と言った。
僕は「森がないからだ」と思いながら聞いていた。
おかしな話だと思うかも知れない。
だけど、たとえば・・・
未知で奥深く、ハレンチで癒しと危険に満ち、活力にあふれるもの
夜にはドウドウと騒ぎ、昼間はまぶしく輝く
そんな存在が身近にあれば、人々はどんなに解放感を味わうことができるだろう。
だって、怒る気にもならないでしょ、後がこんなだったら。
C20090409虫2.JPG

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2010年05月25日

フマール農園 40. Over the Rubicon

C20090513山.JPG
5月。
岩清水のせせらぎを聞きながら、我々はゆっくりと木漏れ日の中を進んでいった。
鳥たちのさえずりに、隊列は否が応にもゆるむ。
森の入り口に差し掛かったところで、フマールは後の隊を振り返った。

「行こう!神々の待つところへ。匙は投げられた!」

いつもの決めゼリフも、このごろは空しく響くようになった。
開拓は終わり、もっぱら観察ばかりの日々がつづく。
黒々と肥えているように見える森の土だが、クローバーの成長はすこぶる悪い。
なぜかとても乾燥しているようだ。
畑とはまったく様子が異なる。

C20090504畑1.JPG
初夏の“ほったらかし畑”は、「もう止めてくれ!」というほど瑞々しく伸びる。

C20090504クモ1.JPG
そして、この国の卯月はかくも美しい。

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2010年04月30日

フマール農園 39. ゆれる。

4月。
1週間ぶりにトリシアと連絡がついた。
トリシアは「おじいちゃんが死んだ」と言った。
それから、なぜか僕に感謝の言葉を述べた。
僕は彼女に入院中の祖父に会いに行くよう勧め、何度か連れて行ったことがあった。
それでも、あとでトリシアは面白い話をいっぱい聞かせてくれた。
ゴチャゴチャとうるさい金儲け主義の葬儀屋に向かって、一見大人しそうなトリシアが暴言を吐いた話などは、特に面白かった。

ここのところ、僕はずっと塞(ふさ)ぎこんでいた。
静かに、しかし確実に・・・
時が経つほどに現状は答えとなってゆく。
期待した冬野菜はまったく大きくなることなく、小さな花を咲かせている。
僕の方こそ感謝しないといけない。

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2010年04月25日

フマール農園 38. ふとん

C20090416畑.JPG C20090423山1.JPG C20090403桜1.JPG
4月。
ひとり、山へ。
桜が満開だ。
芋やいろいろな野菜の苗を植えた。
穴を深く掘ってみると、40センチ下はマサ土のごとき岩盤だった・・・大丈夫か?
去年のジャガイモがゴロゴロと出てくる場所もあった。
ニンジンは勝手に種を落とし、勝手に生えるサイクルに入っている。
塵(ちり)みたいに小さい種でも問題ないみたいだ。
C20090403ニンジン1.JPG C20090403ネギ.JPG C20090409麦4.JPG
C20090403ジャガイモ1.JPG C20090409カボチャ.JPG C20090403畑の土3.JPG
クローバーの層の下は、春の日差しを受けて、ふとんのようにポカポカだ。
そりゃ棲みやすいでしょ、虫たちも。
植物が気候をマイルドにするんだね。
C20090403アマガエル3.JPG C20090403カマキリの卵.JPG C20090403混生2.JPG

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2010年03月31日

フマール農園 37. 春の夢

C20090209畑.JPG C20090318山2.JPG
3月。
今朝はとても素敵な恋の夢をみた。
春だなぁ
鏡を見ると、唇に黒いものがついているので、夢のリップがついたのかと思った。
が、洗顔中に鼻血だとわかった。
シーツをチェックすると小さな染みがついていた。

C20090318菜の花.JPG C20090318イチゴ.JPG C20090318麦1.JPG

昼は第2弾のシードボールを作ってから、干している間に近くのカフェで食事をした。
スプーンを持ったままぼんやり農場を眺めていると、ロバが突然の love affair 。
春は宇宙が融けあっている。

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