2009年09月16日

フマール農園 26. 『ジュラシック・パーク』

9月。
「もうぼちぼち話さねばなるまいよ」
「あぁそうだ。もう限界だ」

頭の中で、小人たちが会議をしている。

S20080414芽.jpg
「4月のとき、こんな小さな芽が出たのを言ったきり、うんともすんともじゃないか」
「まさしくそのことだよ。ボクが言おうとしているのは」
「よし、じゃあ、ここの小枝に座って聞こうじゃないか」

4月だよ。フローレンスも一緒だったよ。
S20080430山1.jpg

5月だよ。のどが渇くから、竹に湧き水を入れたよ。
S20080508山1.jpg

6月だよ。アシナガバチが飛んで来たけど、平気だったよ。
S20080608山2.jpg

7月だよ。急に頭が痛くなってきたよ。
S20080728山1.jpg

8月だよ。ジャコウネズミさんと穴の中で横になっていたよ。
S20080814山2.jpg

9月だよ。みんなで輪になって歌ったよ。
S20080916山2.jpg

「どうかい?どう思うかい?」
「これと同じの景色、ホップの門の映画館で見たよ」
「もちろん僕だって考えたさ。
 太陽の具合が悪いのか?ツゲの根っこがいたずらしたか?
 虫たちが全部食べたのか?
 でも、夜ごはんになったから、もう止めたよ」
「あぁボクも眠たくなってきたよ」
「じゃあ、おやすみね、コミクル」
「おやすみね、また明日ね」

・・・
posted by from_grassroots at 07:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年08月31日

フマール農園 25. メリーゴーラン♪♪

8月。
お盆を過ぎた頃から、急に涼しさを感じるようになった。
ひと夏の恋・・・
夜の網戸にも虫が飛んで来なくなり、山は燃え尽きたように茶が差しはじめている。

S20080814粘土団子と舟.jpg
この日はシードボール(種入り土団子)を作った。
だんだん適当になって、少々崩れていても気にしなくなった。

曇天がつづいていたものの、僕の心は晴れやかだった。
通りがかりの人が見れば、ただの放棄地にしか見えないだろう。
でも僕は1年前の惨状を覚えている。
足も踏み入れられない藪(やぶ)を。

S20080828アスパラガス2.jpg  S20080828ウコン.jpg  S20080828ゴボウ.jpg  S20080828トマト1.jpg  S20080828生姜.jpg

本当に何もしていない。
秋と春に種をばら蒔いただけで、草すら1回も刈っていない。
にもかかわらず、ジャガイモとアスパラができ、トマト、ウコン、ゴボウ、さつま芋などがチョロチョロと生えている。

S20080828キャベツ.jpg  S20080828キュウリ.jpg
キャベツは1年をかけて結球し、「ハウルの動く城」になってしまった。
遅すぎるキュウリが今さらながら生えてきた。

S20080828芽吹き1.jpg
次の世代がスタンバイしているというのに。

・・・
posted by from_grassroots at 23:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年08月15日

フマール農園 24. マルックがアスパラを踏んだ

8月。
マルックがアスパラを踏んだ。
マルックがアスパラを踏んだ。

さっき一緒に見つけて「成長が楽しみだね」と笑い合った・・・
そのアスパラをマルックが踏んだ。
S20080828アスパラガス3.jpg

どうして踏んだのだろう?
むしろどうやったら踏めるのだろう?
・・・怒りが込み上げてきた。

もちろん悪気があったんじゃない。
それはわかっている。
だからこそ、行き場のない“やるせなす”が、この“やるせなす”が・・・

しかし、 あー。 うん。 あー! 仕方がない。
いつものように食べるよう勧めてみた。
さすがに断りにくいらしく、マルックは折れたアスパラを手に取った。
「あっ、美味い!」
「えっ!ほんと?オレにも食べさせて・・・甘〜い!」

S20080714アマガエル.jpg

・・・
posted by from_grassroots at 23:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年07月31日

フマール農園 23. 金の糸

7月。
「マルック、来てみろよ」
「なんだ?これ」
S20080717金糸1.jpg    S20080717金糸2.jpg
突然あらわれた金色(こんじき)の蔓(つる)が、そこら中に絡みついていた。
どんな影響があるのか?など皆目わからないものの、僕たちは吉兆だと感じた。
金色(きんいろ)だから。 アホだから。

S20080717混生2.jpg    S20080717混生1.jpg
すぐ横では、ちょっとダイナミックな混生がはじまっていた。
2メートル近く伸びたゴボウやヨモギの下に、青々としたサツマイモと生姜。
「こんな日陰でも育つんだぁ」
たちまち雑草に呑まれたそれらを、僕は枯れてしまったのだと思っていた。

「ダイナミック柔道!!」
隣でマルックが訳のわからないことを叫んだけど、まんざら外れていないかも・・・

S20080717熊蜂.jpg
あと・・・熊蜂が意外にかわいいことを知った。

・・・
posted by from_grassroots at 22:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年07月15日

フマール農園 22. 小ぶりだ

7月。
ちょっと収穫してみることにした。
ジャガイモはそろそろ食べ頃とのことなので・・・テルポーモ。

S20080710ジャガイモ1.jpg    S20080710ジャガイモ2.jpg

「今年は全体的に小ぶりだ」
と近所のお百姓さんが言っていたので、

「今年は小ぶりだ」
と僕も言ってみた。

普通においしいジャガイモがたくさんできた。

しかし、ほとんどのジャガイモを掘らずに放って置くことにした。
食べることに興味がない訳ではなかった。
それ以上に、どうなるのか?が気になって仕方なかった。

S20080714アマガエル.jpg

“牛蒡の上”(ごぼうのうえ)も呆れ給えり・・・テルポーモ。

・・・
posted by from_grassroots at 23:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年06月30日

フマール農園 21. この道

6月。
森を彷徨(さまよ)い、たどり着いた・・・

C20080611この道.JPG

・・・
posted by from_grassroots at 23:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年06月15日

フマール農園 20. 太陽がいっぱい

C20080604畑.JPG

6月。
「虫、キライ」
そう言っていたトリシアも、ときどき畑に来るようになった。
もっとも彼女の目的は、近くのジェラート屋とそこにいるウサギだったけど・・・

ピンク色のジェラートを手にしたトリシアは、僕の畑をすこし見て言った。
「草ボウボウだから刈らないと」 「肥料もちゃんと上げなさい」
「ダメだよ。それが本当かどうか、試してるんだから」
融けかかったジェラートを舐めながら、トリシアは大声で叫んだ。
「ほったらかし畑ー!万田酵素ぶちまくよー」
白や赤のクローバーの花たちも微笑んでいるように見えた。

C20080604ゴボウ1.JPG C20080604ジャガイモ.JPG C20080604ブルーベリー.JPG

昨年、牧草の間に消えたジャガイモは、クローバーの中ですくすくと育っている。
ほとんど実を着けなかったブルーベリーは、緑肥のソファーで青い実を抱いている。

今年の夏はカーニバルだ。
太陽がいっぱいだ。

・・・
posted by from_grassroots at 21:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年05月31日

フマール農園 19. ショクジュ祭

S20080430柵.jpg

5月。
「もう大丈夫。柵を作ったから。柵を作ったんだから!
・・・え〜、秋ごろからぼちぼちやりまして、このほど完成の運びとなりました。
皆さまのご協力に心よりお礼申し上げます」 パチパチパチ
林の入り口で、僕はマルックとキコリザワに植樹祭の挨拶をした。
「つきましては、念願であったfriutree、果樹を植えたいと思います。
ヤマモモ、栗、お茶、はっさく、それと・・・とにかく、行こう!神々の待つところへ!」

植えてから数日して行くと、無残にもほとんどの果樹がなぎ倒されていた。
「誰だ!こんなひどいことするのは!」
ステンレスを編み込んであるはずの防獣ネットは、あまりにも簡単に食い破られていた。

イノシシはミミズを求めて土の臭いのする場所を掘り返すという。
オロオロする僕のそばで、マルックはひとり大笑いしていた。
「悪気はないみたいだよ」
「そっか、だったら良いんだけど・・・おめぇ、完全に他人事だろ」
つまるところ、柵を作り直すより他なかった。

不思議にもヤブキタ茶(普通のお茶)の木だけが丸ごと無くなっていた。
杜仲茶の木は無事だった。(わかる気はする・・・)

C20080508畑1.JPG
一方、畑の方は、とても穏やかに世界が流れていた。
ダイコンや小松菜が種を結んでいた。

・・・
posted by from_grassroots at 23:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年05月15日

フマール農園 18. キノコの山

C20090507きのこの山.JPG

5月。
すっかりその存在を忘れていた。
ホームセンターで買ったキノコの種。
叩き売り(200円)されていたのを、何の気なく山の木陰に投げておいた。

「なんだ?あれ」
ほほ〜、なかなか生(なま)いじゃないか・・・
S20080422キノコの山.jpg

「マルック、いつもコーヒーをありがとう。ボナぺティ!(さぁ召し上がれ)」
「自分で食べろ」
という流れで、そのまま様子を見ることにした。

ところが・・・次の週、キノコは跡形もなく消えていた。
ヤマノモノの仕業(しわざ)か!?
S20080508キノコの山1.jpg

・・・
posted by from_grassroots at 23:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年04月30日

フマール農園 17. よあけ、はたけ

C20080414畑.JPG

4月。
うれしさが込み上げてくる。
昨年とはまったく異なる春を迎えようとしている。

冬を越えてクローバーは畑一面に広がった。
大きなダイコンが2本と小松菜がすこし生えた。
これほどのことでも、春のまばゆさのせいか、とても嬉しかった。

そもそもクローバーは秋に蒔くものらしい。
ふしぎにも、耕して立てた畝には、クローバーは1本も生えなかった。
その代わりに、すじ蒔きした野菜たちがすくすくと育っていた。
S20080421そら豆.jpg
そら豆の花がキレイだね。

一方、山では・・・
そこかしこに小さな双葉が芽吹いていた。
S20080414芽.jpg

・・・
posted by from_grassroots at 23:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする